生命保険の税務

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法人が契約者となって加入する生命保険契約は、役員や従業員を対象として、退職金の原資や事業承継の手段として幅広く活用されています 。また、個人が生命保険の保険料を支払うと生命保険料控除として一定額を所得金額から差し引けるほか、満期や死亡に伴って受領した保険金には所得税や相続税が課税されます 。これらの課税関係に係る留意事項を確認します

1. 法人が契約者となって加入する生命保険

概要

法人保険には、養老保険(満期または死亡時に保険金が支払われる)、定期保険(一定期間内の死亡時のみ支払われる)、定期付養老保険などがあります 。契約の種類や条件によって保険料の支払い方法、税務処理、解約返戻金や保険金の受取りに関する取扱いが異なります

留意点

  • 損金算入の可否: 事業活動への関連性が高いものや掛け捨て型は損金算入が認められます 。積立型や役員等の資産形成の性質を持つものは資産計上する必要があります 。
  • 契約情報の確認: 契約書には基本情報のほか、特約や解約返戻率などが記載されています 。決算期には保険会社から送付される資料に基づき、損金計上額や資産計上額を正確に処理する必要があります 。
  • 目的の変化: 以前は節税目的の活用もありましたが、現在はルールが変更され、福利厚生や万一の保障確保を目的とする契約が主流です 。

【表1】法人保険の課税の取扱い

種類契約者被保険者保険金受取人支払保険料の処理支払われた保険金の処理
養老保険法人役員・従業員法人資産計上(保険積立金)雑収入に計上
養老保険(福利厚生)法人役員・従業員被保険者又は遺族役員・従業員に対する給与
養老保険(ハーフタックス)法人役員・従業員満期:法人 / 死亡:遺族50%資産計上 / 50%損金算入 差額を雑収入または雑損失に計上
定期保険 (※1)法人役員・従業員法人または遺族最高解約返戻率により異なる(下図参照)差額を雑収入または雑損失に計上

定期保険の支払保険料処理(損金・資産計上の割合)

  • 最高解約返戻率 50%以下: 期間の経過に応じて損金算入 。
  • 50%超 70%以下: 40%を資産計上、残額を損金算入 。
  • 70%超 85%以下: 60%を資産計上、残額を損金算入 。
  • 85%超: 最高解約返戻率の70%(※2)を資産計上、残額を損金算入 。

2. 個人が契約者となって加入する生命保険

概要

個人保険は、契約を締結した年分に応じて、支払った保険料のうち一定額を生命保険料控除の対象にできます

◎生命保険料控除の概要

合計で最高12万円の控除が受けられます

  • [新契約](各最高4万円): 新生命保険料控除(遺族保障等)、介護医療保険料控除(介護・医療保障)、新個人年金保険料控除(老後保障) 。
  • [旧契約](各最高5万円): 旧生命保険料控除(遺族・介護・医療保障等)、旧個人年金保険料控除(老後保障) 。

留意点

受領した保険金は、契約形態によって課税関係が異なります

  • 一時所得: (保険金 - 支払保険料 - 50万円) × 1/2 が課税対象 。
  • 相続税: 「500万円 × 法定相続人数」の非課税枠があります 。
  • 雑所得: 年金方式で受領する場合に適用されます 。

【表2】個人保険の課税の取扱い(夫婦の例)

契約者(負担者)被保険者受領者保険金の種類課税関係
満期保険金夫の一時所得
満期保険金妻に贈与税
死亡保険金妻に相続税
解約返戻金等(夫の死亡時)妻に相続税(権利の継承)
満期・死亡保険金夫の一時所得

3. まとめ

法人保険・個人保険ともに正しく活用すれば事業メリットや相続税対策になりますが、不適切な処理は税務調査でのリスクとなります 。内容を十分に把握し、適切な処理を心がけましょう

(脚注) ※1 保険期間が3年以上等の一定要件に該当するもの 。 ※2 保険期間開始日から10年を経過する日までは90% 。

【参考資料】国税庁 法令解釈通達「保険料等」