法人が納める税金

事務所だより

法人が納める税金

法人が納める税金というと、どなたでも法人税や消費税が思い浮かぶと思います 。しかし、法人が納税義務を負う税金には、これ以外にも国税・地方税に様々なものがあり 、しかも課税標準や税額の算出が複雑です 。知らずに申告や納税の期限を過ぎると加算税や延滞税が賦課決定され、想定外の損害が生じる場合があります 

今回は、法人が納税する主な税金ごとに、その課税標準や税額の算出方法、申告期限などの概要をみていきます 


法人が納める主な税金

種類国税 地方税
主な税金法人税・地方法人税 、源泉所得税 、消費税 、印紙税 、特別法人事業税 、登録免許税 固定資産税・都市計画税 、個人住民税(特別徴収) 、法人住民税 、法人事業税 、地方消費税 、事業所税 、自動車税・軽自動車税 

1. 法人税・地方法人税

  • 申告・納税期限: 原則として、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、所轄税務署長に確定した決算に基づく申告書を提出するとともに、算出された法人税額と地方法人税額(法人税額 ×10.3%)を納税します 。
  • 中間申告: 事業年度が6か月を超える法人(協同組合や公益法人等を除く)は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に中間申告書を提出し、法人税額と地方法人税額を納付します 。
  • 中間申告は、前年度の税額を基礎とする予定申告、または仮決算による中間申告のいずれかを選択できます 。
  • 予定申告の場合、納付税額が10万円以下のときは中間申告する必要はありません 。

2. 消費税・地方消費税

  • 申告・納税期限: 事業年度終了の日の翌日から2か月以内に所轄税務署長に確定申告書を提出し 、算出された消費税額と地方消費税額(消費税額の 22/78)を納税します(3か月ごと又は1か月ごとの課税期間特例の適用がある場合を除きます) 。
  • 中間申告: 前事業年度の消費税(地方消費税を除く)の年税額が6万円を超える法人は、年税額に応じて中間申告書を提出する必要があります 。
  • 中間申告対象期間を一課税期間とみなして仮決算を行い、税額を計算することもできますが、仮決算の結果、税額がマイナスになっても還付を受けることはできません 。

3. 源泉所得税

  • 概要: 従業員に給与・賞与を支払った場合、「給与所得の源泉徴収税額表」(源泉税額表)により所得税及び復興特別所得税を源泉徴収して翌月10日までに納付します 。
  • 納期の特例: 給与の支給人員が常時9人以下の場合は、事前に所轄税務署長に申請書を提出することにより、7月と翌年1月の年2回の納付にまとめることができます 。
  • 注意点: 従業員が扶養控除等申告書を会社に提出しているか等に応じて適用する税額表が異なるので、注意が必要です 。

4. 印紙税

  • 概要: 日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)など20種類の文書に課税される税金です 。
  • 納税方法: 収入印紙を文書に貼付し、消印することで完了します 。
  • 電子契約: 用紙に記載した文書が課税対象になるため、電子契約は課税されません 。
  • 過怠税: 納付すべき印紙税を納付していなかった場合、印紙税額の3倍に相当する過怠税が徴収されます 。

5. 法人住民税

  • 概要: 法人が事業所を設置している地方自治体に納税する税金で、都道府県民税市町村民税から構成されます 。
  • 申告・納税期限: 法人税等と同様、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に申告・納税しなければなりません 。
  • 構成: 資本金や従業員数から課税される均等割と、法人税額に応じて課税される法人税割があります 。
    • 法人税割は黒字法人だけが納税しますが、均等割赤字法人も納税する必要があります 。
  • 分割基準: 事業所が2以上の地方自治体にある場合などは、従業員数の分割基準に従い、課税標準額を分割してそれぞれの地方自治体に納税します 。

6. 法人事業税・特別法人事業税

  • 法人事業税:
    • 概要: 法人が行う事業に対して課税される税金で、事業所を設置している都道府県に納税します 。
    • 課税標準: 法人の業種に応じて、付加価値割・資本割・所得割・収入割により課税標準額と税率が定められています 。
    • 申告・納付期限: 法人税等と同様です 。
    • 資本金1億円以下: 原則として所得割のみ納税するため、赤字法人は納税の必要はありません 。
    • 分割基準: 事業所が2以上の地方自治体にある場合などは、法人住民税の法人税割のように、一定の分割基準に従い分割して納税します 。
  • 特別法人事業税:
    • 概要: 法人事業税の額に都道府県ごとに定められた税率を乗じて算出します 。地方税収の偏在を是正するために法人事業税の一部を分離して導入された税金です 。
    • 納税の流れ: 都道府県に納税された後、国にいったん払い込まれ、その後、人口などに応じて各都道府県に再配分されます 。

7. 個人住民税(特別徴収)

  • 概要: 役員報酬や従業員に対する給与を支給した際、源泉所得税と同様、個人住民税を天引きして翌月10日までに市区町村に納税します(特別徴収) 。
  • 税額: 前年の所得金額に応じて課税される所得割と、定額で課税される均等割から計算されます 。
  • 税額は、役員・従業員が居住する市区町村から会社に通知されます 。

8. 固定資産税・都市計画税 (Fixed Asset Tax and City Planning Tax)

  • 固定資産税:
    • 概要: 土地・家屋(住宅、店舗、工場、事務所等)、償却資産(事業用の構築物や機械等)に対して課税される税金です 。
    • 納税者と納付先: 1月1日現在の固定資産の所有者が、資産価値に応じて算出された税額を、固定資産の所在する市町村(東京23区内は東京都)に納税します 。
  • 都市計画税:
    • 概要: 市街化区域内に所在する土地・家屋に対して課税される税金です 。
    • 納税: 土地・家屋の価格に応じて通知された税額を固定資産税と合わせて納税します 。

まとめ

このほかにも、登記等の際に納める登録免許税(国税)、人口30万人以上の都市に面積 1000m2 超又は従業員100人超の事業所を有する場合に納税する事業所税(地方税)、所有する車両に関して納税する自動車税・軽自動車税(地方税)などがありますので、申告漏れや納付漏れがないよう注意が必要です